2014年11月7日(金)に,札幌市の「かでる2・7」で,表記講演会が開かれました。
基調講演:
菅井貴子氏(気象予報士)「変化する北海道の冬の天候」
一般講演:
山元泰司氏(寒地土研・寒冷沿岸域チーム)「流氷期の津波防災・減災に関する研究」
山梨高裕氏(寒地土研・寒地地盤チーム)「北海道における地盤防災に関する研究」
石塚忠範氏(つくば中央研究所 火山・土石流チーム)「最近発生した土砂災害とその対応について」
講演する菅井貴子氏
菅井氏の講演
北海道の雪の予報は非常に難しい。札幌に西には手稲山があるため西風が吹く時は札幌にはあまり雪は降りません。北風が吹くと石狩湾から石狩低地へと風が抜けて札幌に雪が降ります。
日本の気象観測は,函館(函館気候測量所)で1872(明治5)年に始まったのが最初で,東京(東京気象台)が1875(明治8)年,札幌(札幌農学校)が1876(明治9)年です。
現在の気象予報の的中率は85%とされています。雪の多い北陸では雪雲の下で雪が降ります。ところが,北海道は気温が低いために雪が風で流されるので地上の風も考慮に入れて予想しなければなりません。
冬型の天気である西高東低になった場合,北海道に等圧線が4本かかると風が強くなります。6本かかると猛吹雪になります。また,北海道南岸を低気圧が通ると千歳市など太平洋側に大雪が降ります。石狩湾で発生する低気圧は,局地的であるため予想が非常に難しいです。海水温がどの程度かも効いてきます。
この100年で最低気温が2.3℃上昇しています。一方,北極海の氷が減少していてシベリア高気圧からの風が吹き出してきて,北海道は寒くなっています。根雪の始まりは年々遅くなっています。
北海道の冬は資源にもなります。例えば,地中熱を利用すれば一年中15℃程度の快適な温度を保つことができます。
山本氏の講演
北海道は津波の常襲地帯であり,近年だけを見ても1993年の北海道南西沖地震以来,2011年の東北地方太平洋沖地震まで6回の津波に襲われている。北海道の流氷期の津波では,構造物への流氷の衝突力などの津波リスクについて考慮する必要がある。また,河川が結氷している場合は,その氷が遡上してくる。その他に,津波で運ばれてきた氷が構造物の隙間を埋めてしまい作用外力が増大したり水位が上昇したりするアイスジャムが発生する。建物などに衝突した海氷が重なって高く積み上がるパイルアップも考慮しなければならない。
山梨氏の講演
北海道には泥炭が広く分布する。日本の泥炭の6割に相当する。泥炭地域では盛土の破壊や大きな沈下が発生する。また,北海道の総面積の約4割は火山灰質土である。工学的性質が特殊・多様で地震時には液状化が発生する。寒冷地であるために切土のり面で凍上や凍結融解によりのり面崩壊が発生する。
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