軟弱地盤上の盛土では,地盤の圧密沈下によって盛土体を構成する砂質土が基礎地盤にめり込んだ状態になっている。地震が発生するとこの砂質土が液状化を起こして盛土が破壊される。対策としては,盛土のり尻にフトン篭を積んで盛土のり尻の泥濘化を防ぐのが有効である。
軟弱地盤の杭基礎が地震により被災するのを防ぐ方法に増し杭工法がある。しかし,この工法は時間とコストがかかる。これに対して,橋脚などの周辺を地盤改良して複合地盤杭基礎(コンポジットパイル工法)とすることで,より経済的に耐震性を高めることができる。
土の凍上現象というのは,土が凍結するとき地盤中にアイスレンズ(凍った水の薄層)が形成され、この層が成長して地盤が隆起する現象である。土の凍上の要因としては,土質,土中の水分,気温がある。
対策としては,アンカーやロックボルトの受圧版が土の凍上に追随するようにバネを設置するという方法がある。
小段排水に地中水が集中して凍上が発生することが分かってきた。これを防ぐため,小段排水のトラフ下などに断熱材を設置することが効果的であることが分かってきた。また,排水路をフレキシブルな構造とすることも有効である。
石塚氏の講演
2013年から2014年にかけて発生した土砂災害の特徴や今後の課題について述べる。
2013年伊豆大島災害では,39名が亡くなり全壊家屋50棟などの被害が発生した。大島観測所での24時間雨量は800mmを越えたが,その北3.6kmの地点では400mm程度の降雨であった。土砂崩壊は火山灰とレス(風成層)の互層のレス層上面で発生している。砂防ダムがあったが土石流は小さな尾根を乗り越えて別の沢を流下して被害が拡大した。住民避難では「直ちに身を守る行動」を起こして2階に避難して助かった人もいた。
2014年7月9日に発生した南木曾町の災害ではスリットダムなどの砂防施設が被害軽減に効果を発揮した。古い地名(蛇抜け沢)は土石流が発生しやすいことを示していた。
2014年8月の丹波市の災害では源頭部で崩壊が発生していた。
2014年8月20日の広島市の土砂災害では70名が死亡し18名が行方不明となった。この災害では二次災害が発生しないように避難指示をいつ解除するかが問題であった。
インドネシアのアンボン島の土砂ダムの決壊に向けた避難態勢を構築した。土砂ダムの下流には人口約5,000人の集落があったが,土砂ダム決壊による死者は2名だけであった。
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