長瀞(その2)
2017-05-11


 泊まる場所が上長瀞なので,まず荒川左岸沿いの町道を歩いて長瀞へと向った。ライン下りの舟乗り場である。対岸に石英片岩の露頭があり,白鳥島の褶曲というのがリーフレット(文末参照)で紹介されている。肉眼では良く分からない。黒褐色の層の中に灰白色の層の褶曲が見える。帰って来て写真を拡大してみてようやく分かった。


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写真7 ライン下りの舟乗り場から白鳥島を見る
 長瀞駅からすぐの所に舟乗り場がある。対岸は石英片岩,手前は砂質片岩,緑色片岩である。この付近では,片理面は北東-南西方向で,北西に20°ほどで傾斜している。
 並んでいる船の一番左の対岸に「白鳥島の褶曲」があるが,ちょっと分かりにくい。褶曲構造は樋口駅対岸のキャンプ村の河岸でいやと言うほど見ることができる。


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写真8 ライン下りの舟乗り場付近の緑色片岩
 細かい片理の発達した片岩である。泥質片岩へは漸移していくように見える。


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写真9 「ミ型」の雁行脈
 舟乗り場付近の泥質片岩中に見られる構造である。


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写真10 岩畳の泥質片岩
 細かな片理が発達している。右が下流(北)である。


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写真11 キンクバンド
 下流側の休憩小屋付近で見られる構造である。キンクというのは,「糸などのねじれ」のことで,岩石では二つの軸面を境界とする板状の変形帯のことを言う。岩石周辺の圧力が高い場合や岩石に作用する歪みの速度が大きい場合に形成されると考えられている。


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写真12 小滝の瀬の石英片岩
 下流の泥質片岩から石英片岩に変化する。石英片岩が浸食に強いためか瀬を作っている。

 午後3時頃,上長瀞に着き,宿を取って博物館を見学し,歩いて岩畳から虎岩までを見学することができた。荒川沿いに直線距離で約1kmである。
 長瀞〓上長瀞エリアと言われているライン下り船着き場から秩父鉄道荒川橋梁までをじっくり見ると色々なことが勉強できる。

 自然の博物館では,「古秩父湾 秩父の大地に眠る太古の海の物語」という冊子を発行している。この冊子は,長瀞だけでなく横瀬,秩父,小鹿野,皆野などを含む地域全体について,地質の魅力を伝えるものとなっている。


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