積丹半島の神威岬
2018-09-02


北西に向かって日本海に突き出た積丹半島の南西側の岬が神威岬で,先端に神威岬灯台があります.さらに,その沖に神威岩,メノコ岩が,雁行状(ミの字型)に海面から顔を出しています.


国道229号から神威岬灯台への町道を上っていくと広い駐車場があり,岬先端へ遊歩道がついています.海面から50m ほどの高さの 空中回廊といった感じです.


この岬の土台をつくっている地質は,中新世・余別層の石英含有黒雲母角閃石安山岩で,その上に鮮新世・野塚層の砂岩・礫岩・火山円礫岩および輝石安山岩が載っています.

実際に神威岬で見ることの出来る地質は,灰赤褐色のハイアロクラスタイトとそれに挟まれている黄褐色のシルト岩,そして灯台手前にある層状・半固結のシルト岩・砂岩・礫岩です.


昔は灯台には灯台守が常駐していました.その人たちは,海岸伝いで灯台へ行き来していました.そのために掘られたのが「念仏トンネル」です.

国道229号の余別トンネルから少し西に行った所に「食堂うしお」があります.ここから海岸伝いに灯台へ行く道がありました.その途中に念仏トンネルがあります.灯台職員の家族が,天長節(11月3日)のお祝いの買い物に行く途中で波にさらわれたのを機に掘られたと言われています.地理院地図にも道とトンネルが載っています.


このトンネルは海際ですので,岬の土台をなしているハイアロクラスタイトに掘られています.現在,神威岬灯台へ行く遊歩道の途中に念仏トンネルが見える場所の案内板があります.


もう一つ,神威岬から西を見ると沼前(のなまい)地すべりを見ることが出来ます.幅1,000m,奥行き900m,滑落崖の高さは200m 以上あります.末端は海の中なので,それを含めると奥行きはもっと長くなります.

地すべりの基盤岩は,陸側に傾斜した中新世の泥岩・緑色凝灰岩で,滑落崖にはハイアロクラスタイトを含む火砕岩類が露出しています.いわゆるキャップロック型の地すべりです.



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