北海道新幹線の羊蹄トンネル(延長9,750m)の札幌側の比羅夫工区では、シールド工法(シールド機で掘削し、場所打ちコンクリートで一次覆工を行う工法:SENS工法)で掘削していましたが、2021年7月に巨大岩塊に当たって掘削不能となり、地表に陥没が生じました。小断面の迂回トンネルを掘って岩塊を除去して、2023年11月に掘削を再開しました。
同トンネルの函館側の有島工区でも岩塊に遭遇し工事が止まっていましたが、2024年11月18日から掘削を再開しました。しかし、22日に再び停止したとのことです。
これらの岩塊は、古羊蹄火山の山体崩壊による岩屑なだれ堆積物です。
古羊蹄火山の山体崩壊堆積物については学会発表や論文が出ていて、分布も示されています(例えば、吉田、2015や江草・中川、2001など)。羊蹄火山の西の麓を通る国道5号の脇には、真っ黒な安山岩の巨大な岩塊が鎮座しています。山体が崩壊して移動してきた岩塊ですから、非常に硬いのが一つの特徴だと思います。
シールド工法で掘削することに決めた時期と、古羊蹄火山の岩屑なだれ堆積物の分布が明らかになった時期との前後関係があると思いますが、地質調査をおろそかにしているとしか思えない「事故」という感じがします。
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