札幌市清田区,国道36号の美しが丘1-5の信号の北東一帯が,平成30年北海道胆振東部地震で液状化の発生した場所です(日経 XTECH,2018年9月10日13:30).
この地域は直線の国道36号の北東にあり,大きく弧を描いている市道北野1条通の南の地域です.この市道は,かつての国道36号で元をたどると札幌本道です.
札幌本道は,1872(明治五)年〜1873(明治六)年にかけて開拓使が建設したもので,函館と札幌を結ぶ西洋式の馬車用道路です.この札幌本道の絵図が,「新道出来形絵図」として残っていて,北大図書館・北方資料室のデータベースで見ることが出来ます.(輪厚(わっつ)付近の絵図は,請求記号:図類261(2) 30-1(北大北方資料室)).
この絵図では,起点側(右側)に「輪厚」として7〜8件の家が描かれ,道は大きく北にうねって元に戻っています.絵図には三つの小川が描かれています.
ところで,札幌本道が何故,平野側(北東側)に迂回したのでしょうか.
1919(大正八)年に発行された2万5千分の1地形図「輪厚」を見るとその答が分かるような気がします.
この付近では,三里川の支流が幾つにも分かれて南から北へ流下しています.直線でこの区間を通過した場合,札幌本道にかかる三里川の本・支流は少なくとも5本ほどあります.これらの河岸は比高20m〜40m ほどあり,当時の技術ではこれらの川を横断することが難しかったでしょう.それで,これらの支流が合流する地点まで路線を移したのだろうと想像できます.
図1 三里川付近の河川系
札幌本道は輪厚川を渡った後,北に迂回し三里川を横断して台地に登り,再び直線道路となります.(この地図は,国土地理院発行の「大正八年 大日本帝國陸地測量部発行の2万5千分の1地形図『輪厚』」の謄本に加筆したものです.)
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