シンポジウム「軟石を生かしたまちづくり」
2017-07-28


 表記シンポジウムが,2017年7月27日,午後6時15分から午後8時45分まで,札幌市の教育文化会館で開かれました。都市計画学会北海道支部10周年記念シンポジウム 兼 平成29年度第1回都市地域セミナーです。

 シンポジウムに先立って,午後14時30分から石山緑地などの現場見学会が開かれました。南区常磐にある辻石材工業株式会社の採掘所も見学し,最後は教育文化会館向かいの札幌市資料館の見学だったようです。私が会場に着いた時に,ちょうど見学者の方達がバスから降りてきました。


禺画像]
写真1 講演する佐藤氏

 佐藤俊義氏(札幌軟石を語る会):北海道の軟石文化
 北海道造園設計株式会社の取締をやりながら,札幌軟石を語る会の活動をしています。2002年に藻南公園の「札幌軟石広場」の設計を担当しました。この広場は2004(平成十六)年に完成しています。
 札幌建築鑑賞会と一緒に札幌市内の軟石建物の調査を行い,300棟以上の建物のデータを揃えてきました。
 札幌軟石は支笏カルデラが出来たときの火砕流が固まったもので,加工がしやすく断熱性に優れて耐火性も備えていたために,明治の初期から石材として利用されてきました。
 札幌軟石の特徴は,白い軽石が入っていることです。最近の使用例では,軽石が,舞う雪のように見えると言うことで室内にも使われているそうです。
 昔はすべて人力で採掘していて,ツルハシで溝を切り,金矢を打って石を割り出し,野取りで表面に模様をつくるという作業を行っていました。

 島松軟石というのは,島松駅逓近くで採掘されたもので,札幌軟石と同じく支笏カルデラの火砕流です。オレンジ色の軽石が入っているのが特徴です。

 小樽軟石は小樽市の桃内(桃岩),奥沢,手宮などで採掘されていました。これらは新第三紀の水中に噴出したもので,縞模様が美しいのが特徴です。

 登別軟石はクッタラ火山の火砕流で,登別川のほとりに採石場がありました。石積の間知石として使われていました。

 美瑛軟石は,120〓150万年前の十勝カルデラの噴火による十勝火砕流が固まったもので, JR 美瑛駅の北西側に採掘所がありました。石山という地名が残っています。JR 富良野線の美瑛駅の建物がこの軟石を使っています。
 *十勝カルデラは旭岳からトムラウシ山にかけて南北にやや長い形をしたカルデラです。

 金華(かなはな)軟石は,北見市留辺蘂町で採掘されてきました。赤味を帯びているのが特徴です。北見市端野町の石倉公園に倉庫が残っていて交流センターとして使われています。

 網走軟石は,網走湖の東に採石所がありました。網走監獄屋内施設の建材として囚人によって切り出されました。
 *図幅とこの日見せてもらったサンプルから判断すると網走層の礫岩のようです。

 古梅(ふるめ)軟石は,屈斜路カルデラの34万年前の火砕流が固まったもので,青みがかっているのが特徴です。


続きを読む

[地質技術者のつぶやき]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット