土木学会は,1914(大正3)年11月24日に創立されました.今年で丸100年になります.
土木学会の前身は,1879(明治12)年11月18日に創立された工学会です.この工学会は,旧工部大学校7学科の第1期卒業生23名によって,相互親睦・知識の交換を目的として創立されました.
7学科というのは,土木,機械,造家(建築),電信,化学,冶金,鉱山,造船です.当時は工学を専門とする人が少なかったことから,7学科全体の学会で十分でした.
しかし,1885(明治18)年に鉱山関係者が日本鉱業会を設立し,以後,造家学会(建築学会),電気学会,造船協会,機械学会,工業化学会が,1898(明治31)年までに次々と設立されました.
これに対して,土木学会の設立は遅れました.その理由の一つは,土木関係分野の一つであった鉄道協会が,1898(明治31)年に設立されたことであるとされています.この当時,東北本線や山陽本線などの建設が盛んに行われていました.結局,工学会創立から34年後に土木学会は設立されました.
以上は,創立20周年記念「土木学会略史」(1934年10月)などを参考にしています.これらの本では,工学会創立は明治13(1880)年としています.「土木学会80年史」(1994年11月)では,1889(明治12)年となっています.
なお,工学会は現在,学協会単位の会員で構成する日本工学会として活動を続けています.土木学会や地盤工学会が会員となっています.
(http://www.jfes.or.jp/about/history.html)
下の二つの文章は,設立総会の発起人なって欲しいという依頼状と土木学会創立趣意書です。漢字仮名まじり文を読みやすいように直して,適当に句読点を付けています。
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“土木学会設立発起人依頼” の文章
拝啓,ますますご清栄奉り大いに喜ばしく候。我ら,今般同志相謀り別紙趣意のごとく新たに土木学会を設立いたしたく候につき,その発起人たることをご承諾相成り候よう致したく存じ候.もっとも,現に工学会の存在候,今日更に土木学会を設くるは如何とのご説もこれあるべくと存じ候らえども,ご承知の如く同会はその目的とするところ工学全般を網羅するものに候らえば,一学科専攻の機関としては不適当なものに有之,且つ工学会に於いても目下その組織を変更して通俗的なものたらしめんとするの議あり方々,以て土木学会の新設は刻下適切の時期にして,寧ろその設立遅かりしを感ずる次第にこれある候間,この際奮ってご賛同下されたく,この段貴意を得候.
追って,本会創立総会に於いて決定すべき本会定款及び規則は先般来討議を重ね別紙記載の通り立案候につき,右に対し御意見有之候はば総会前に於いて取り纏めたく候間,本月二十日迄に御申し越し下されたく候.
大正三年六月一日
有志者総代
石黒五十二 沖野忠雄 大屋権平
野村龍太平 古市公威 平井晴二郎
仙石 貢
(創立二十周年記念 土木学会略史,昭和九年十月.四〓五 による)
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