芦別岳
2010-09-10



 芦別岳は夕張山地の最高峰である.その尖った山頂で遠くからでも容易に見分けることが出来る.
 芦別岳の山頂およびユーフレ川〔勇振川〕源流付近に分布しているのは,ジュラ紀から白亜紀前期(約2億年前から1億年前)の玄武岩(苦鉄質火山岩類)である.この玄武岩岩体は付加体中の岩体とされている.芦別岳を含む岩体の規模は東西幅最大約2.0km,南北延長約7.5km の巨大なものである.
 北尾根を構成しているのはジュラ紀中期から後期〔約1.76億年前から1.46億年前)の海成堆積物である.
 極楽平から旧道の北尾根取り付き付近のなだらかな地形は,夕張岳から続く蛇紋岩を含むオフィオライト(海洋プレートの断片)の分布域である.この蛇紋岩起源の粘土が沢に堆積しており,槙柏山の西から北に広がる,なだらかな沢地形を形成したものと考えられる.

 芦別岳の登山道はユーフレ川沿いに登り北尾根に出て,尾根沿いを歩く旧道コースと山部自然公園の南側の貯水池から尾根に取り付いて登る新道コースとがある.
 2010年9月7日現在,旧道コースは,8月お盆過ぎの雨によると思われる崩壊が各所で発生していて非常に歩きづらい状態となっている.特に,ユーフレ小屋分岐から夫婦岩分岐までの沢(夫婦沢)は渓岸崩壊が著しい.ベトベトの蛇紋岩粘土が崩壊していたり,出来たての土石流が堆積していたりで足元が崩れやすくなっている.
 登山時間に余裕を見た方がよい.

 十九線道路の突き当たりの「太陽の里」パークゴルフ場の駐車場に車を置いて歩き始める.砂利道の林道をしばらく行くと登山ポストがあり,笹の生い茂る登山道に入っていく.

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↑ 芦別岳の旧道登山口:ここまでは砂利道で,この先は笹の覆い被さる登山道となる.


 沢に降りて最初に出てくる露頭は砂岩泥岩の互層である.前期白亜紀の海成堆積物である.ユーフレ川の水は白く濁っている.上流の蛇紋岩粘土によるものであろう.

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↑ 最初の露頭:砂岩泥岩互層でやや硬質である.沢の水は白く濁っている.


 登山道は沢に沿っているので次々と露頭が出てくる.塊状砂岩の優勢な部分があり,そのような箇所では沢を離れて高巻きとなる.
 標高440m付近に泥岩優勢砂岩泥岩互層の大露頭がある.前期白亜紀初期の海成層である.走向・傾斜は N25° E,70°SE である.

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↑ 泥岩優勢の砂岩泥岩互層


 次の高巻き箇所は硬質な塊状泥岩主体の地層である.ジュラ紀中期から後期の海成堆積物である.この付近では沢に泥岩が広く分布している.

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[地質技術者のつぶやき]

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